「アトラトル」というのは矢/槍を投擲するために使用する長さ50センチほどの棒のことで、先端に小さい鈎がついていて、もう一方の端にはY字状の部品が取り付けられています。また、この道具を使って矢あるいは槍を投擲し狩猟する技術をも「アトラトル」と呼んでいるようです。アトラトルに使用する矢/槍(英語ではdart と呼んでいました)は洋弓のそれと形状はほぼ同じですが、長さは1.5~2メートルで洋弓の矢の倍以上あり、軸(直径7~8ミリ)の後端部は半球状にえぐられていて、アトラトルの先端の鈎に矢の後端部を引っ掛けることができるようになっています。投擲するときには、矢/槍の後端部をアトラトルの先端の鈎に引っ掛けてからY字の部分に軸を乗せ、アトラトルの根元(Y字部のすぐそば)を握って野球の上手投げのように投げます。そうすると、引き金のようなものはありませんが、矢/槍は自然に前方に飛び出していきます。
インターネットで調べてみると(http://www.onagocag.com/atlatl2.html)、この狩猟方法は世界の各地で2万年以上も前から行われていたようです。弓矢ほどの命中精度や貫通力は期待できないものの、あまり高度の製作技術や投擲技術を必要としない比較的単純な方法なので古くからあちこちで行われていたというのもうなずけます。現在では、アトラトルを趣味としている人もそれなりにいるようで、アメリカでは競技会なども開催されているようです。
実演の指導はアトラトルを長いこと趣味として続けている男の人で、まずはじめに簡単な説明があり、それから彼が実際に何本か投げて投擲方法を示し、最後に参加者達の試し投げとなりました。はじめの何本かはぎこちなかったのですが、次第に慣れてきてかなり遠くまで放れるようになり、自分の放った矢/槍が大きな円弧を描いて100メートルほども先の芝に突き刺さったときは爽快な気分でした。遠投は要領がわかればそれほど難しくはありませんでしたが、15メートルぐらいの近距離の的を射るのはなかなか難しく、意地になって何本も試みましたが、とうとう最後まで的中させることはできませんでした。残念。
No comments:
Post a Comment