Friday, May 26, 2006

家の前

    
今朝、ゴミを出したときに「家の前」というトピックで思いついたことがあったので、いくつか書きとめておきます。
  
毎週金曜日は私の住んでいるあたりではゴミの収集日になっています。普通のゴミは、金曜日の朝、ゴミ専用の大きなプラスティック容器や段ボール箱、プラ袋などに入れて家の前の道路わきに出しておくと、町営の収集車がやってきて持っていってくれます。この収集車は一軒ごとに止まってくれるので、日本の住宅街のように決められたゴミ収集地点まで持っていく必要はありません。逆にプラボトル、缶、ガラス瓶、新聞紙や雑誌などのリサイクル品目は指定の収集場所まで自分で持っていかなければなりません(毎週水曜日と土曜日)。
  
つぎはスクールバスです。アメリカの学校では(大都市の住宅密集地域は別にして)小学校から高校まで必ず登下校のためのスクールバスというのがあり、家が学校から一定の距離(歩いて15分ぐらいでしょうか)をこえて遠くにある場合は無料で利用できるようになっています。このスクールバスはアメリカ中どこへ行っても判で押したように黄色で、デザインも新しいバスと古いバスとにかかわらず一律に古くさくて頑丈かつ鈍重な感じです。要するに安全第一ということなのだと思います。どの学校に行っても始業前と放課後にはこの黄色のスクールバスが何台も列をなして止まっていてなかなかの壮観です。で、たまたま私の家の前がそのスクールバスの停留所の一つになっていて、毎日午前7時40分ごろと午後3時50分ごろに必ずバスが止まり近所の子供達が乗り降りします。うちの子供もたまにこのバスを利用します。たまにというのは学校をサボっているわけではなく、歩いて行ったり(25分ぐらい)、自転車で行ったり、車で送ったりすることが多いからです。スクールバスだと遠回りで時間がかかり車内も喧騒を極めるらしく、あまりバスでは行きたがりません。ちなみに、車を運転していて前方でスクールバスが止まったときには要注意です。止まると同時にバスの横から「STOP」という標識が出ますが、これが出てから引っ込むまでの間、対向車線を含めてすべての車両は児童生徒の安全確保のために停止しなければなりません。
  
家の前には郵便受けもあります。この国の郵便制度で便利だと思うのは、郵便受けに切手を貼った手紙(料金受取人払いでもかまいません)を入れておくと配達の人が持っていってくれることです。郵便受けの横には赤くて小さい旗/矢印のようなものがついていて、投函したい郵便物があるときはその郵便物を郵便受けに入れてこの旗/矢印を上げておきます。配達の人はそれに気がついて持っていってくれるという仕組みです。日本でも地方で交通の不便なところにはこのような制度があるのかもしれませんがつまびらかにしません。
  
私の家の前には消火栓もあります。消火栓は住宅街では一定の距離ごとに設置することが義務付けられていて、たまたま私の家の前が設置箇所の一つになっています。黄色というのが消防は赤という日本でのイメージからするとちょと変な感じです。半分さびていますが、少し前に消防の人が点検に来て栓を開け水が噴出するのを確認していました。
  
最後にもう一つ。6月からカナダのアルバータ州教育省で新しい仕事が始まるため、家族一同で同州のエドモントンというところへ移り住むことになっています。この仕事は約2年の予定ですが、その間今住んでいる家は空っぽにして貸家にすることにしており、家の前には不動産屋が「貸家」という看板を出しています。

Friday, May 19, 2006

アトラトル - Atlatl

水曜日(5月17日)の夕方、「アトラトル(atlatl)」という矢投げ/槍投げの実演イベントに行ってきました。私はこの「アトラトル」については何の知識もなかったのですが、カミさんがたまたま地方新聞のイベント情報のページで見つけてくれ、面白そうなので息子と二人で参加しました。

「アトラトル」というのは矢/槍を投擲するために使用する長さ50センチほどの棒のことで、先端に小さい鈎がついていて、もう一方の端にはY字状の部品が取り付けられています。また、この道具を使って矢あるいは槍を投擲し狩猟する技術をも「アトラトル」と呼んでいるようです。アトラトルに使用する矢/槍(英語ではdart と呼んでいました)は洋弓のそれと形状はほぼ同じですが、長さは1.5~2メートルで洋弓の矢の倍以上あり、軸(直径7~8ミリ)の後端部は半球状にえぐられていて、アトラトルの先端の鈎に矢の後端部を引っ掛けることができるようになっています。投擲するときには、矢/槍の後端部をアトラトルの先端の鈎に引っ掛けてからY字の部分に軸を乗せ、アトラトルの根元(Y字部のすぐそば)を握って野球の上手投げのように投げます。そうすると、引き金のようなものはありませんが、矢/槍は自然に前方に飛び出していきます。


インターネットで調べてみると(http://www.onagocag.com/atlatl2.html)、この狩猟方法は世界の各地で2万年以上も前から行われていたようです。弓矢ほどの命中精度や貫通力は期待できないものの、あまり高度の製作技術や投擲技術を必要としない比較的単純な方法なので古くからあちこちで行われていたというのもうなずけます。現在では、アトラトルを趣味としている人もそれなりにいるようで、アメリカでは競技会なども開催されているようです。


実演の指導はアトラトルを長いこと趣味として続けている男の人で、まずはじめに簡単な説明があり、それから彼が実際に何本か投げて投擲方法を示し、最後に参加者達の試し投げとなりました。はじめの何本かはぎこちなかったのですが、次第に慣れてきてかなり遠くまで放れるようになり、自分の放った矢/槍が大きな円弧を描いて100メートルほども先の芝に突き刺さったときは爽快な気分でした。遠投は要領がわかればそれほど難しくはありませんでしたが、15メートルぐらいの近距離の的を射るのはなかなか難しく、意地になって何本も試みましたが、とうとう最後まで的中させることはできませんでした。残念。

Tuesday, May 16, 2006

齢と草木

人は年をとると(私は今年の9月で50になります)草木のことなどに関心が向くようになるのでしょうか。近頃は、散歩などしていてふと目に入ってくる花や木の名前がむやみに気になることがよくあります。
  
針葉樹は一目見れば松や杉の類とわかりますが、それすらも松や杉の類と大きく括った形でわかる程度で、例えば檜や栂とかいった単体の名称はほとんど何もわかりません。桜、楓、銀杏などの比較的よく見かける樹木も同じで、細かな分類はわかりませんし、広葉樹に至っては何も知らないといってもいい過ぎではないほどです。花も、躑躅、紫陽花、菊、チューリップ、水仙など、見てすぐわかるものは限られています。それで、散歩するたびに「ああ、ポケット植物図鑑のようなものを手に入れなければ」と思うのですが、うちに帰ると忘れてしまうのは知的怠慢ということでしょうか。
  
これに輪をかけているのが、米国在住のため植物に関する一次情報はすべて英語という環境です(植物に限らずなんでもですが)。「oak(樫・柏?))」だとか「elm(楡)」だとか「dogwood(ハナミズキ)」だとか、もともと日本語でいわれても実物を識別することはできないのですから、知らないものの名前を英語でいわれ、それを目の前にして識別するというのは二重の困難がともないます。
  
話は変わって、今、庭でシャクナゲの花がきれいに咲いています。「rhododendron」というのが英名です。数年前メルボルンに住んでいたときに、近郊に600種類だかの「rhododendron」があるという植物園があって、私の両親が遊びに来たときに案内したことがあるのですが、その時はこの「rhododendron」の和名が何であるかなど気にもかけませんでした。今、インターネットで調べてみると、「rhododendron」というのは「シャクナゲ」で「ツツジ属に属する諸種の常緑低木, 華やかな花をつける」ということがわかります。齢を重ねた功名というべきでしょう。
  
で、このシャクナゲ、よく観察してみると、たしかに花の一つ一つは躑躅の花によく似ていますが、面白いのは開花する前には多くのつぼみがまとまって一つのつぼみを形成していることです。写真を見るとその様子がよくわかると思います。
  



Tuesday, May 09, 2006

動物のことなど


田舎町(米国ペンシルベニア州)に住んでいるので動物の姿を見かける機会は都会よりも多く、庭先にもいろいろな小動物が訪れてきます。このところ鴨がよく遊びに来ます。今朝も鴨のつがい(といってもオス2羽、メス1羽の変則カップル)を庭で見かけ、写真をとりました。鴨は川や池のような水のあるところならどこにでもいます。鴨は渡り鳥のはずなのですが、このあたりは居心地がいいのか真冬の間も氷のはった川のほとりにたむろしていました。

今年の春はウサギも近所でよく見かけます。拙宅の庭にも何羽か住んでいるようで直径10センチほどの穴があり、先日はついに裏庭での撮影に成功しました。体長20センチほどのウサギで何という種類なのかわかりませんが、ウサギのくせにいやに耳が小さいなと思いました。
  
山に入ると鹿や熊も珍しくはないようです。秋が深まると猟銃を担いで山に入るというのがこの土地の伝統行事となっていて、11月の狩猟シーズンには学校が二日だか三日だか休みになります(父親と息子のmale bondingというやつです)。去年の秋は、私の息子が行っている学校で「何々君、お父さんが駐車場で待っています」という校内放送の呼び出しがあって、その男子が行ってみると父親がトラックの荷台に仕留めた熊を積んで見せに来ていた(解体する前に)、という話もありました。たしか映画「Deer Hunter」はペンシルベニアが舞台ではなかったかと思います。

話はかわって、道端で車にはねられて死んでいる動物のことを英語では「road kill」というようですが、このあたりでよく見かけるroad killはポッサム、スカンク、リスなどで、秋には鹿もわりと頻繁に見かけます。このroad killはやはり場所によって種類が異なり、オーストラリアではカンガルーやウォンバット、フロリダではアルマジロなどをよく見かけました。